前回、「05_BtoBコーポレートWebサイトで発信すべき情報とは?」では、
BtoB企業がコーポレートWebサイトをきちんと整備しなければならない理由と、
発信すべき情報とは?についてお話ししました。
今回は、コーポレート Webサイトを改訂、リニューアルを実施する際に、
まず社内で検討すべき事項についてお伝えします。
私は長年、コンペ参加依頼を受ける制作会社側の立場でしたので、
どの辺が曖昧だと失敗するか、後で揉めるか、をいくつも見て来ました。
そうならないために、社内で何をどこまで決めておくべきなのか?を、お話します。
いきなり「コンペだ!」と業者探しをする前に、 まず自社内で検討すべき事項は、
①目的を明確にする
②対象を見極める
③現状の課題を見極める
④改善範囲を定める
です。
外部業者に提案依頼をするにしても、これらに関しては自社内でし っかり明確にして
コンセンサスをとっておかないと、後から揉める事になります。
予算を計上したいタイミングで経営陣や他部門から
「コストがかかりすぎでは?」「 費用対効果はどう考えているのか?」という疑問の声が上がったり、
「それ、いまやる必要あるの?」といった”そもそも論”があちこちから噴出しては、
社内で大勢の協力を仰ぐ必要のあるコーポレート Webサイトのリニューアルは円滑に進みません。
また、目的や範囲が曖昧なまま提案、見積依頼をすると各業者からの見積金額にも幅が出てしまい、
費用の妥当性も一気に怪しくなってしまいます。
そうならないために、上記をしっかりと考えておくことが、なによりも大切で す。
①目的を明確にする
そもそもなんのためのリニューアルなのか?と聞けば、もっとも多い答えが
「何年も放置していて、経年劣化したから」
という声です。
「前にリニューアルしてからもう何年も経過して、 いくらなんでもこのままでは…」
というのはもちろんそうですね。
何が問題なのか、というと
・「見た目」が古くさくてイケてない
・「掲載されている情報」が古いため更新が必要
に大別されます。
・・・が、ここで立ち止まってはいけません。 もう少し本質的な課題の見極めが必要です。
BtoB企業の「コーポレートWebサイト リニューアルの目的」を考えるとは、
「 自社Webサイトの役割とは?」を考える事です。
もちろん、予算をかけて実施する以上、最終的には「売上に貢献」 する事が目的です。
しかし、BtoCビジネスと違い、BtoBにおいてWebサイト上で売上が立つことは稀です。
BtoBは受注~購入までの商談・検討期間も長く、また単価も高いため、詳細な対面説明(商談)を経る必要があります。
それゆえに長く企業のコーポレートサイトは「 とりあえず存在すればOK」レベルで捉えられていました。
しかし、ここ数年で、市場環境が大きく変化して来ました。
1つはスマートデバイスの急激な普及です。
いまやサイトへのアクセスは半数以上がPCではなく、スマートフォンからの流入となりました。
そのため、 スマホ対応をしていないサイトはそれだけで「見にくく不親切」「 時代遅れ、古くさい」という印象を与え、
忙しい決裁権者への商談機会を失うだけでなく、採用面で若くてよい人財の獲得にまで影響を及ぼします。
技術的な話になりますが、スマートフォン対応をしておかないと、「SEO」と言われる「検索された際の表示結果」にも
マイナスになる、というのも非常に大きなポイントです。
2つめは、製品やサービス導入検討時の顧客側の意識の変化です。
かつて「とりあえず営業を呼んで相談」だったものが、
いまや「 Webサイトでまず情報を収集して比較検討してから声がけ」 と変わりました。
そのため、Webが見つかりにくい、見た目にイケてない、見にくい、説明がよくわからない、
という状況を放置すると、優良な見込み顧客からの問い合わせの機会を、みすみす逃してしまうことになります。
ここは迷わずシンプルに「Webからの確度の高い問い合わせ(リード)を増やす」ということを目的に定めましょう。
②対象を見極める
聞いたことがある方も多いと思いますが、 Web制作会社のお決まりのセリフで
「 対象をペルソナ化しましょう」
というものがあります。
対象をできるかぎり具体的に、年齢/性別/趣味/ 嗜好などプロフィールまで明確化しないと失敗しますよ、 というものです。
これは正しいのですが、 BtoB向けの事業を行う企業の場合、なかなか1人に絞り込むのは非常に困難です。
しかし、ここをぼんやりさせたままではリニューアルはうまくいきません。
その場合は、
・今後、営業が特に新規対象として注力したいクライアント層は?
・業界、業種、規模感は?
くらいで考えると、絞り込みやすいでしょう。
また、直接販売の場合はエンドユーザー企業の意思決定層だけでよいです が、
間接販売メインの場合などはパートナー向けに入口を別に設けたりする必要もあります。
この機会に「自社の商売相手は誰なのか?」をしっかり社内で協議、検討しましょう。
>関連記事:BtoBにおける「ペルソナ」「カスタマージャーニー」とは?
③現状の課題(ボトルネック)を見極める
「Webからの確度の高い問い合わせ(リード)を増やす」 ことができていない、現状の課題(ボトルネック) は何でしょうか?
A)そもそもアクセス数が少ない
B)問い合わせの数が少ない
C)問い合わせはあるが、確度が低い
これらは一見同じように見えますが、 打ち手がまったく異なります。
A)そもそもアクセス数が少ない
→自然検索の順位が低い→SEO対策を見直し、スマホ対応を実施
→更新やコンテンツ追加の頻度が低い→運用体制や仕組みの見直し
B)問い合わせの数が少ない
→アクセス数は多い→離脱が多い?→デザイン/動線/ フォームの見直し
→アクセス数が少ない→Aに戻る
C)問い合わせはあるが、確度が低い
→説明が不足、わかりづらく誤解されている→ コンテンツ自体の見直し
このように、現状課題を細かく見ていくと、 やるべきことが決まります。
「とにかくリニューアルする」 とザックリさせずに、いま一歩、踏み込んで検討しましょう。
④改善範囲を定める
課題が明らかとなったら「改善(注力)すべき範囲」を決めましょう。
予算が潤沢であればすべて改善したいところですが、 BtoB企業において現実的にはそうはいかないハズです。
上記でいえばどこが特に改善したい点なのか、 注力すべきなのか?をよく見極めましょう。
ここまで社内で取り決め、コンセンサスが得られていれば、 後は予算とスケジュールとの兼ね合いで、
どこまでやる(できる) のかを決めればよいのです。
この辺りは次回、もう少し詳しく解説します。
*さいごに・・・ デザインありき、で進めない!
「変わりました!」 を伝える意味ではデザインはもちろん重要です。
が、現状の課題とリニューアルの本質的な目的は「見た目をなんとかする」ではないはずです。
あくまでもデザインは改善の一つの「手段」ですし、
デザインがいくら素晴らしくても商売相手= 対象層に対して敬遠されたり、
共感を得られなければ何の意味もありません。
また、デザイン重視の場合、得てして操作性(ユーザビリティ) が悪くなり、
どこに何があるのか、 どうやって辿り着けるのかがわかりにくくなるリスクもあります。
直帰率や離脱率が高まってはリニューアルは大失敗です。
あくまでも順番としては、
優良な問い合わせ(リード) を増やしたい
→そのための改善策を具体的に検討
→ その後で対象者に合わせたサイトデザインを検討する
のが正解です。
提案時の業者選定で、見た目で惑わされてはいけません!
次回07は、「BtoB企業 コーポレートWebサイト リニューアルを安価で抑える方法」
~制作会社側の見積パラメータ項目について、解説します!
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株式会社Red Comet Management
www.red-cm.com
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