20_「マーケティング」が「なんか胡散くさい」のは何故なのか?~ツールだけ入れても成功しない

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本BlogではBtoB日本企業がこれまで必要としてこなかった「マーケティング」が、
これからなくてはならないものに変わりつつある、という事を何度も繰り返し説明して来ました。

今回は、まだそれでもなんとなく懐疑的な方に、すこし視点を変えてお話したいと思います。

 


 

◆なぜ「マーケティング」屋の説明は胡散くさいのか?

 

いま、巷に溢れる「マーケティング」屋の説明がなぜ難しく感じる、どうも素直に受け入れられない、もっと有り体に言えば「胡散くさい」と感じるのか、というと、おそらくは

「マーケティング」=「ツール&データ活用」という説明に終始しているから

ではないでしょうか。

 

それは結論としてはその通りなのですが、フツーの日本企業が一足飛びにそこに行こうとするのはムリがある、と
長くBtoB企業の現場を見て来た私は考えます。

 


 

◆「ツール」と「データ」があれば「勘と経験」は不要?

 

これまでの数十年間、長く日本のBtoB企業の「営業」活動は「経験と勘」の世界とされて来ました。

そこにはフィールドセールスしかなく、
営業担当者が足しげく「訪問」と「接客」時には「接待」を繰り返し、
「顧客との良好な関係」「担当者が顧客に好かれること」を最重視してやって来た歴史
があります。

 

その反面、あらゆる企業で、同じ商材を同じ市場に営業していても、
必ず「売れる」営業スタッフと「売れない」営業スタッフが存在します。

 

同じ説明資料を使っても売れない人は売れない。
そこには営業の「気がきく」とか「可愛がられる」とかいう、パーソナルなキャラクターが深く関係します。

 

「そういうのは非効率でナンセンス。だからツール活用してデータ分析で戦略を立てて、効率的に、なんなら自動化しましょう」というのが、いま巷に溢れる「マーケティング」の説明です。

 

これは結論としては間違ってはいませんが、聞いている側からすると「そんなにうまくいくの?」「いやいやそんなに簡単ではないでしょう」「それってものすごく大変なのでは?」と疑わしいですよね。

 

事実、そうなのです。

SFAやMAといったツールを導入してデータさえ活用すればすべてが解決、する訳がないのです。

そんなに甘いものではありません。

 

「データ」さえ取れれば「勘や経験」なんて要らなくなる、と言うわけではありません。

「勘や経験なんて属人的で非効率でナンセンス。
だからツール活用してデータ分析で戦略を立てて、効率的に、自動化しましょう」

 

そういう一部のツールメーカーの甘言を真に受けてツールを導入したものの、
使いこなせず、手間と工数の割に効果も出ず、話が違う!と感じているユーザー企業は数多く存在
します。

 

私はこの兆候は危険だと思います。

「やっぱりマーケティングなんかめんどくさいばかりの机上の空論だ、やはり営業は現場だ」

と揺り戻しが来ると予想します。

実際に、これまで何度も何度もそういう事を繰り返して、日本の「マーケティング」はどんどん遅れてきたのです。

 


 

◆「ツール」や「データ活用」は手段の一つにすぎない

 

「勘や経験」を「データ活用」に変える!・・・これはほぼ、間違いなく失敗します。

現実問題として、あなたの企業で、ロクに営業経験もない、
マーケティング担当が画面だけを見て渡してきたデータを、
フィールドで顧客企業に訪問している営業サイドが重要視してくれますか?

というお話です。

 

これまで「人と人の関係」がビジネスの基本、と教えられてきた営業スタッフにとって、
その「データ」と言うものは血の通っていない冷たいものに感じられてしまい、嫌われてしまいます。

それがマーケティング部門とセールス部門のギャップの正体です。

 


 

◆「マーケティング」の正しい捉え方

 

まず最初に考え方として、「マーケティングとはデータ活用(だけ)である」というのは危ないです。

これまで経験のない、あるいはうまくいっていないフツーの日本企業における「マーケティング」は、
「顧客企業から自社を選んでもらうための活動のこと」と捉えてください。

ツール導入やデータ活用はそのための手段の一つであって、解決策ではありません。

 

そして、「マーケティングツールを使えばすべて解決」とはならない事も肝に銘じましょう。

ツールだけ入れれば要らなくなる程、 BtoBのフィールド営業はカンタンなものではありません。

併せて「コンテンツ整備」も必要ですし、
前述したマーケティングとセールスのギャップを埋めるには「インサイドセールス」という役割も必要になります。

 

ただし、これまでのやり方が厳しくなり通用しなくなって来ているのは事実です。
フィールドの営業の方々も、それは感じているハズなのです。

 


 

ですので、フィールドセールスの「勘や経験」だけ、「気合いと根性」だけでとにかく頑張ってもらう、のではなく、
そこにツールやデータを活用して助けてあげて、顧客企業と友好な関係を築くやり方をあれこれ試してみて、
みんなでもう少し前に進みやすくしましょう、
という考え方が良いと思います。

 

これが私の考える、フツーのBtoB日本企業におススメする「マーケティング活動」です。

 

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