RPAが話題です。
ここのところ、RPA推進のプロジェクトマネジメントや、製品セールスのためのマーケティングをお手伝いする機会が増えてきました。
いろいろ学んでみて、「RPAとマーケティングは似ているなぁ」と感じる今日この頃です。
そこで今回は、「RPA」と「マーケティング」の相似ポイントと、進め方、考え方のヒントをご紹介します。
●RPAとは その導入意義
「ロボティック・プロセス・オートメーション」。認知技術を活用した、主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組み。人間の補完として業務を遂行できることから、仮想知的労働者とも言われている。また、デスクトップ作業のみに絞ったものをロボティック・デスクトップ・オートメーションと呼び、RPAと区別することもある。
日本は「超」が付く「少子高齢化」社会であり、これからますます労働人口が減り、「人材確保が困難」になりますので、事業継続という観点からも、早いうちに”単純作業”は自動化、省人化を図る必要があります。
●RPA導入がなかなか進まない理由
前述の「RPA導入の意義、メリット」はおそらく、誰でも頷く理屈ですが、金融業界などの一部を除いてはまだまだこれから、の取り組みであり、特に中小企業ではなかなか進まないのが現実です。
なぜか?
その理由としてよく挙げられるのが、
①導入しても「実施するのが大変」なのでは?
②内製化に「対応できるリソースがいない」
③「外注するとコストが高くかかりそう」で不安
④「同じ業界の事例がまだ少ない」ので不安
そして
⑤自動化する作業がそんなにない「気がする」
といったところです。
これらの「導入したいけどまだ早い気がする理由」のお声をお聞きすると、そのたびに「マーケティングと似ている」と感じるのです。
①導入しても「実施するのが大変」なのでは?
「RPAは業務を自動化する仕組み」と考えがちですが、実際は「業務を操作にまで分解して再現させる」といったソリューションです。そのため、「ツールを導入すれば完全に自動化できる」というよりも、「単純操作の手作業の部分をツールで自動化」して、判断や確認などは人が行う、「ハイブリッド」運用を目指さないと、失敗します。
これはマーケティングも似たところがあり、「MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入すれば自動化できる」というのは幻想で、非効率な部分、工数が多くかかる部分をツールで代替えする、くらいに考えなければ失敗します。
そのためには「作業、処理上にイレギュラーがある場合は自動化しない」というルールを肝に銘じておく必要があります。
②内製化に「対応できるリソースがいない」
③「外注するとコストが高くかかりそう」で不安
①でご説明したように、RPAは「業務を操作にまで分解して再現させる」ソリューションですので、実施の際は「実際にその業務処理を行う、オペレーションを熟知した人」が実施するのがベストです。
「ITツールだからITエンジニアに対応させよう」としてしまうと、その人は社内にせよ外注にせよ、業務フローや実際の業務処理、オペレーションを把握していませんから、それを伝えて理解してもらうだけでかなりの工数がかかります。そうなると、必然的にコストもかかります。
「属人的でブラックボックス化している業務処理を(マニュアル化など)可視化して、標準化する」というのは長年、日本企業が非常に不得意な事柄ですが、外的変化に伴い、いよいよ手を付けるタイミングに来ています。
現状は「ベテランの人に任せれば安心」な業務を、マニュアル化したり、新しい人に託したりするのにはどのみちかなりの工数がかかりますので、であればRPAツールに覚えさせて、自動化してしまう、というのが新しい選択肢なのです。そもそも、新しい人材にそういった単純で手間のかかる業務を託すと、「こんなことやるために会社に入ったんじゃない」と辞めてしまうリスクだって、低くないのです。
これまた、マーケティングも同様です。マーケティングは営業セクションとの連携を伴う、売上向上のための新たな取り組みですので、そもそも対応リソースは社内にはいないもの。推進のための情報を収集して、社内で意思を固めて、全体最適で意思決定していくのは容易ではありません。
ですが、導入が遅れればRPA同様、なにも変わらない状況が長く続き、どんどん競合企業と差がついてしまいます。
であれば、社外のノウハウ、リソースをうまく活用して、早期に対応するべきですし、それを人に託すのではなく「仕組み」「ツール」として導入する、というのが正しい考え方です。
④「同じ業界の事例がまだ少ない」ので不安
日本企業ならではの「横並び意識」ですが、気持ちはわかります。しかし、同業界であっても、組織規模や企業知名度などの立ち位置、提供製品もサービスも、対応業務も社内リソースの具合も異なるもので、事例はどのみち「参考」程度にしかなりません。
「事例」は稟議や社内での説得、巻き込みには有効ですが、それを「やらない理由」にするのは、いささか後ろ向き過ぎる気がしてなりません。
⑤自動化する作業がそんなにない「気がする」
そして最後に、このご意見。
社内で「どんな作業を自動化したいですか?」と尋ねると、意見が出ずにとん挫してしまうこと請け合いです。
なぜなら「その自動化により自分の仕事がなくなるのではないか」「ほかに新しいことをやらされるのではないか」というネガティブな心理が働くからです。
ですので、RPA推進にあたっては
◎「手間がかかるがやらざるを得ない業務処理は?」
◎「忙しくて手が付けられていない業務処理は?」
◎「今できていないが、今後やりたい、やらないとと思う業務処理は?」
といったヒアリングを実施すると、進めやすくなります。
RPAが「現場のストレスを解消する」ものだと認識されれば、現場の協力が得られやすくなります。
マーケティングも同様で、
◎「営業活動でボトルネックになっている点は?」
◎「競合に比べて、負けていると感じる点は?」
◎「営業現場で、あったらいいなと思うコンテンツ、ツールは?」
といったヒアリングをすると、課題が見つけやすくなります。
「(BtoB)マーケティングは現場で苦労して汗を流している営業をフォローして、効率的に売り上げを向上する取り組みである」、と社内で理解を得るのが、成功の第一歩なのです。
いかがでしょうか。「RPA」と「マーケティング」の相似ポイントと、進め方、考え方のヒントをご紹介しました。
「RPA」も「マーケティング」も、トップダウンではなく現場から業務改善、効率化のアイデアが生まれて、その結果コスト削減(RPA)や、売上向上(マーケティング)につながる、重要な取り組みです。
「RPA」による業務効率化と「マーケティング」による営業改革について、お悩みであれば、ぜひ一度ご相談ください。
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