39_セールスイネーブルメントとは?

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またまた、BtoBエリアで新しい用語が登場しました。

それは、営業活動の改善や最適化を目的とした「セールスイネーブルメント(Sales Enablement)」です。

私が提唱する「売り方改革」とほぼ同義の新語です。

今回は、その定義の意味と取り組みについて、そして実現のためにどうすべきか?を解説します。

 


 

■セールスイネーブルメント(Sales Enablement)とは

 

セールスイネーブルメントは、一般的に「営業活動を改善し、最適化するための概念および取り組み」を指す、とされます。

 

近年、SFA(セールスフォースオートメーション)やMA(マーケティングオートメーション)などのツールが普及し、長年属人的でブラックボックスだったBtoB企業の「営業活動」の可視化と効率化を目指す企業が増加しました。

 

しかし、各ツールは「商談活動」や「見込み顧客の育成と商談発掘」状況を可視化、支援するためのもので、”ツールを入れたらカイゼンできた”と実感する企業はごくわずかで、”やるべきこと(触るツール)が増えて、却って業務が煩雑化した”と感じる方が多いのではないでしょうか。

 

セールスイネーブルメントは、それを解消する目的で、「営業プロセス全体の一貫した施策設計・管理により、全体最適化する」という概念です。

 


 

■特長は「全社横断」

 

特長的なのは、「営業部門だけの取り組みではない」という点です。

セールスイネーブルメントは全社組織を横断して、

〇メンバーの採用・初期教育・評価制度:人事部門
〇営業プロセスの標準化、育成:営業部門
〇必要な管理ツールの導入とSFAなど既存システムとの連携整備:情報システム部門
〇営業情報(コンテンツ)の整備とリード獲得支援:マーケティング部門

などを行います。そして、

 

〇営業に関わる施策を全社的に俯瞰して設計する
〇営業プロセス全体を一貫して施策を管理する
〇効果を数値化して、PDCAサイクル化する

 

ことにより、営業部だけではなし得ない、”抜本的な営業最適化の推進”、という大きな取り組みなのです。

 

これは裏を返せば、営業部門だけでの自己解決はムリ、マーケティングや情報システム、人事総務も巻き込んで、経営トップの判断でやらなければならないほど、”売り方改革”は至難の業、という証明かもしれません。

 


 

■なぜ「売り方改革」が必要?

 

テレアポや飛び込みの「アウトバウンド」営業の時代が終わり、見込み顧客に見つけてもらい、問い合わせを集める「インバウンド」セールスが主流になりました。MAツールをうまく使いこなせば、見込み商談機会の発掘や可視化も可能になりました。

 

しかし、BtoBではWebで商談が完結することはほとんどなく、最後は営業スタッフによる訪問、商談、クロージングが必要です。

加えて、見込み顧客が増えると確度にバラツキが生まれます。単なる情報収集、競合比較段階、即受注につながる段階など、商談のバリエーションが増えます。

 

ただでさえ労働人口が減少する日本では、効率化しないともはや営業活動が持続できなくなっているのです。

 


 

■先進国のUSでは?

 

セールスイネーブルメントの概念が生まれたのはUSです。あちらでは、この実施にあたって専門部署が設けられます。

この部署に配属されるのは営業・マーケティング・人事・システムなど、部門を横断したメンバーが揃えられます。もちろん近年では、データ分析やデジタルマーケティングを得意とするデータサイエンティスト的な人材も欠かせません。

 

日本においてはどうでしょうか。自分の会社に置き換えてみてください。

「理想的だとは思うけれど、とても実現できそうにないな」と感じる方が多いのではないでしょうか。

 


 

■またまた「専用ツール」が続々と登場

 

そして、こういった新たな定義が登場すると、「これがあれば実現します!」と専用ツールが続々と市場に投入されます。

セールスイネーブルメントツールの市場は、2017年度に14億円(前年度比6.1%増)、2022年には31億円と倍増が予測されます*。
*出典:「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2019」

 

かつてのCRM、SFAやMAの時と同じ流れです。またまた、管理するツールが増えるのです。

 


 

■「セールスイネーブルメント」実現のカギもまた、「コンテンツ」

 

前述の市場データでは、セールスイネーブルメントツールを、以下のように定義しています。

セールスコンテンツを中核に据えた業務を効率化・高度化することで、営業力を強化するためのシステム
セールスコンテンツの作成・更新、保管・管理、活用状況の可視化、ならびに営業担当者の教育/トレーニングの4つの機能を有する製品

 

そう、ここでもやはり、カギとなるのは「コンテンツ=最適な営業情報発信」なのです。

いくら人財を揃え、パートナー企業と協業し、営業フローを整備しても、コンテンツがなければ、結局のところ、商談とクロージングは営業の能力に依存します。そしてもはや、最適なコンテンツがなければ、そもそもの新規商談機会すら、生み出すことはできません。

 

オウンドメディアを運営し、ダウンロード資料を整備し、有力な商談を創出して営業(代理店営業も含みます)にパスした際に、何を持参し、何をどう説明、説得するのか?そこを属人化したままでは、マーケティングもインサイドセールスもテレセールスも、今回ご紹介したセールスイネーブルメント(売り方改革)も実現しません。

 

私の自著に、そのための実戦的なヒントを記しました。新たな取り組みに焦って飛びつく前に、まずは「自社の資産」としてのコンテンツ(最適な営業情報発信)整備から始めましょう。

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