目下、新型コロナウィルスで大変な状況です。
誰が、「会社に出社したら命が危ない」なんて非常事態になることを予想したでしょう。震災や台風には耐性がある日本でも、これは想定外。まさに世の中、何が起こるかわかりません。
これを「今だけ」と捉えるか、「この先必要な変化」と捉えるかで、その企業の将来は、大きく変わります。
これまで多くの日本企業が「セキュリティが」とか「コストが」とか「仕組みが」とかを口実に、食わず嫌いで導入に踏み切れなかった「テレワーク」「Web会議」「チャット」をいま、初めて体験している企業、人も多かったと思います。
やりにくい、対面の方がいい。そう言いたくなる気持ちはわかりますが、それは慣れてないだけです。
やり方が不慣れなだけであって、生産性と効率が悪い、ということは決してありません。
これまで、何十年も続けてきた一斉通勤、書類の体裁、何段階もの決済プロセス、長すぎる会議など、会社での「仕事の進め方」。
コロナ収束後には必ずや元に戻そう、という動きが活発になると思いますが、もはやそれをやったらおしまいです。
リーマンショックの時もそうでした。経済的に危機的な状況になりましたが、誰も働き方や商習慣を見直そうとはしませんでした。
結果、景気が復調したら元通り。ますます長時間労働になりました。
しかし、今回は違います。リモートワーク、テレワークなど遠隔でも仕事がこなせるITツールは充実し、安いコスト(中には無料)で使えるものが世の中には山ほどあります。
専門家がいない自社のセキュリティよりも、よほど安全です(危ないのは仕組みじゃなくて、使い方の方です)。
そして、少子高齢化があの頃よりさらに進み、労働人口はこれからもどんどん減少します。
この機会に、「元に戻したらおしまいだ」くらいの強い覚悟で、無駄なこと、くだらない商習慣はやめにして、新しいスタイルに変えるべきなのです。
その変えるべき本質は、ITツールの導入ではなく、 商習慣や業務フローなどの「働き方」です。
普段はやらないトライアルをやらざるを得なくなった今回、これは変化への大きな機会です。
「仕事は会社でやるもの」
「全員がオフィスにいないといけない」
「ハンコをついて紙で廻さないといけない」
「会議室に集まって話し合わないと行けない」
「毎朝同じ時間に通勤しないといけない」
「危ないからデータは社内に置いておかないといけない」
「営業は訪問して対面じゃないといけない」
ホントにそうでしょうか?
それらは単なる慣れ、思い込みだということに、多くの人が気づいたのではないでしょうか。
私は2年前に会社を辞め、独立して気づいたことが、たくさんありました。
また、仕事柄10年以上前からテレワークを主体にしていたので、今回の非常事態にも問題なく対応できました。
ただ、周囲の声を聞くと、組織の大小を問わず、会社の働き方はなかなか変われないという話をよく耳にしました。
何をどうやればよいのか、よくわからないという人も多いのが事実です。
では、うまくいっている会社は何をやっているのでしょう。
「仕事の進め方」を変えるためのヒント
- 知り合いのある企業では、交通費をテレワーク用の資源に廻すアイデアを実行しています。
通勤しない日の交通費は、そのままテレワークに必要な通信費や、機材購入費に充てられる取り組みです。
テレワークはその人の環境や仕事の内容によって向き、不向きがありますので、出社するか在宅でやるかを選べるようにしたわけです。
- また別の企業では、テレワークのためのガイドラインを決めて、全社員に配布しています。
慣れておらず戸惑う人向けのマニュアルであり、余計な問い合わせや揉め事を防止するための取り組みです。
- ニュースでも取り上げられましたが、電子認証の仕組みを取り入れて、捺印と郵送が必要な契約書を電子化した企業もたくさんあります。
- 稟議書や承認プロセスは、ワークフローツールを使えば、遠隔でもこれまで以上にスピーディに進められます。
- テレワークをするにはチャットツールが必須です。なにかわからないことがあるたびに電話していたら仕事は進みません。メールでは効率が悪く時間がかかりすぎます。
- Web会議をするときは、顔を映すことが必須です。日本人はとかく顔なしで声だけで参加したがるのですが、そのくせにすぐ「やりにくい」「対面でやりたい」とか言い出します。
- 細かいことですが、仕事用のITツール、SNSのアイコンは顔写真、名前は本名にしましょう。スムーズに誰かを認識してもらうためのマナーです。
いま、やるべきはこうした社内の「仕事の進め方」「働き方」を見直して、新しいスタイルにアジャストすること。
そのためにはこれまでのやり方を見直して、棚卸しすることです。
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