皆さんのお手元にも、たくさんの「メルマガ」が届いていると思います。自身で登録希望したもの、勝手に送られてくるもの…
毎日、業務上のメールで飽和状態にあるので、「開封せずにゴミ箱行き」のメルマガも数多く存在すると思います。
それゆえに、「メルマガなんて時代遅れでもはや効果はないのでは?」という懐疑的な声は、もう何年も前から上がっているのも事実です。
確かに、「メルマガ」には効果があるものと、ないものが混在します。
また、時代背景とともに、対応しなければならない事項も変化しています。
今回①は、「そもそもメルマガはなんのため?」「BtoBメルマガの種類と役割」
そして「どうせやるなら効果的なメルマガのやり方」
次回②は、「いまどきのBtoBメルマガの実施方法」を、「事例」を交えてご紹介します。
「メルマガ」は時代遅れ?何のための施策なのか
「問い合わせを増やしたい」「認知を高めたい」「テレアポでは限界」・・・企業が「メルマガ」を実施している、始めたい理由はさまざまだと思います。
理由はさまざまですが、メルマガを行う”究極の目的”は「売上を向上させたい」ということに尽きます。
「自社の営業が顧客と接触するのは約3割」とも言われます。実に7割の顧客は放置状態にあるワケです。これはもったいない、ということで、さほどコストもかからないメールによる顧客への接触手段、それが「メルマガ」です。
しかし、これだけ各社からのメルマガが飽和状態の世の中では、「とりあえず」で実施しても効果はありません。それどころか、手間がかかる割に「もう送らないでくれ」などのクレームにつながったり、逆効果になってしまうリスクがあります。
BtoBにおける「メルマガ」の開封率
業種、企業、商材などによりさまざまですが、全体平均では10~15%程度。私の経験値では「通常が15%くらい、反応が良いときで30%くらい」でした。悪くても10人に1人、よければ3~4人に1人くらいの割合で見ていただけるのです。これは顧客接点という観点から、決して悪くない率であると思います。
BtoBにおける「メルマガ」の種類
①「メルマガ」「ニュースレター」・・・保有リストに対して、定期的に一斉配信する
②「開催告知」(展示会・セミナー)・・・保有リストに対して、開催の都度、一斉配信する
*これ以外の「メルマガ」活用法は、次回ご紹介します。
②「開催告知」に関しては集客という目的がある以上避けられませんが、問題は①です。
①は「一斉配信」であるため、どうしても効果は薄まります。「その多くが直接ゴミ箱行き」になるのは致し方ありません。
それを避けるには、顧客ごとにセグメント分けして、細かく内容を変えて…それは理想的ですが、現実的に可能でしょうか。
もちろん、可能ならばそうするべきですが、多くの企業でそこまでできないので悩んでいるのです。
「メルマガ」で何を書けばよい?
もちろん、「展示会やセミナー開催告知」「新商品(新機能)リリース情報」などの「お知らせ」は重要な役割ですが、それだけでは長く続けられません。
メルマガに関する記事でも、肝心のこの部分は多くを語られません。業種や製品、自社の置かれた状況などによりさまざまであるからでしょう。
しかし、「何を書いたらよいかわからない」「ネタがない」とお悩みの企業は多いと思います。
ここではBtoBメルマガに何を書けばよいのか?の基本的な考え方、ヒントをお伝えします。
考え方のヒントA:「お客様に、自社とお取引をする上で知っておいていただきたいこと」は何か?
- 商品(やサービス)を開発した背景や想い、エピソード
- 自社が業務上で直面した課題とその解決策
- 商品(やサービス)を使いこなす上で、またはその周辺でのテクニック
- よくある質問と、その対策
など、商品(やサービス)を提供する自社もユーザ企業の皆様と同じ悩みを抱えていて、これで解決したのですよ、といった体験談やエピソードなどは、興味を持っていただけるテーマです。
考え方のヒントB:自社商材で、ほかに紹介したいものは何か?
・自社の主力商材や事業以外の取り組み
・関連する商材、サービス、オプション機能
・自社内の雰囲気や特長、担当社員のご紹介
なども、自社のファンになっていただいたり、クロスセル、アップセルにつながるテーマとして有効です。
「メルマガ」は営業担当者に加えての顧客接点ですので「なかなか日常の商談で改めてお話する機会がないけれど、知っておいていただきたいことってなんだろう?」ということを考えてみると、膨らませやすいと思います。
「一斉配信メルマガ」で効果を上げる手法
それでは、①「一斉配信」で、できるだけ効果を高める手法をお伝えします。
まず、BtoBメルマガにおける「期待効果」とはいったい何か?から考えます。
- 送信先にきちんと届く
- 開封してもらう
- 読んでもらう
- なんらか反応してもらう
これらが「メルマガ施策のKPI」です。
以下、項目ごとに、対策をご紹介します。
<4つのKPI別対策方法>
①送信先にきちんと届く
対策:宛先をこまめにメンテナンスする
「メルマガ」は100%相手に届きません。一斉配信するため、宛先が古い(転職した、退職したなど)ことで「送信エラー」になることが少なくないのです。これを防ぐには、そもそも配信前にリストのクレンジング(名寄せをする、メンテナンスをする)が必要ですが、多くの営業から集めた名刺情報の場合、なかなか難しいのも現実です。
であれば、配信後になんらかの理由で「未着」となったリストを、こまめに削除しなければなりません。
これを怠ると、「不達メールを大量に配信した業者」ということで送信元ドメインがブラックリストに登録されたり、せっかく送信したメールが「スパムメール」と認定されて受信ボックスをスルーして「迷惑メールフォルダ」に振り分けられる、といった事態が起こります。
「相手方のメールBOX容量がいっぱい」などの一時的に届かないものは除き、「宛先不明」「アドレスが存在しません」といったパーマネントエラーの宛先は都度、リストから削除しましょう。
対策:オプトアウトにしっかり対応する
一斉送信「メルマガ」を送ると「もう送らないでほしい」というオプトアウトのリクエストが届きます。「必要ないならスルーしてよ・・・」と思っても、要望があれば対応しなければクレームにつながります。せっかくのリストが目減りするのは残念ですが、その方は「私は見込み客ではありません」という明確な意思表示をいただいたのですから、保有リストのクレンジングの機会と認識して、次回から送信しないように、リストから削除しましょう。
*「メルマガ」配信を行ううえで、オプトイン/オプトアウトは必ず守らなければならない義務です。
・オプトイン:配信する「メルマガ」がどんなものであるか、購読者側に事前に承諾を得ること。
・オプトアウト:「配信を停止してほしい」という意思の受信者に対し、メール配信を停止・解除を行うこと。
受信者がオプトアウトをスムーズに行うことができるよう、送信者の情報や解除方法など、特定事項をメール本文に記載する義務があります。受信者より解除通知を受けた場合は、以降のメール配信は原則行えません。
対策:SPF / DKIM などの「送信ドメイン認証」を行う
SPFはIPアドレスによる、DKIMは電子署名による、送信ドメイン認証の仕組みです。スパムメール対策で各メーラーが賢くなっているので、これらを使用しないと「なりすまし」と見なされてこれまた受信ボックスをスルーして「迷惑メールフォルダ」に振り分けられるなど、送信元メールアドレスの信頼性を損ないかねません。
②開封してもらう
対策:タイトルを頑張る
メルマガの永遠のテーマではありますが、やはりタイトルは重要です。ここではマイケル マスターソン氏が提唱する「4U」のテクニックを用います。
4Uとは、タイトルに
1.Urgent (緊急性)
2.Unique (ユニークさ)
3.Ultra specific (超具体的)
4.Useful (有益性)
を盛り込んで、読む気になってもらいましょう、という手法です。
例えば・・・
「メルマガを開封してもらうための手法」
これに4Uを足すと、
【今月限定】●メルマガ開封率が20%UP!初心者でもすぐにできる3つのテクニックを公開中!
というようにする、というものです。
あまりあざといと逆に読む気が萎えますが、シンプル過ぎると数多くのメールに埋没してしまいますので、
・誰に対して有効?
・どんなメリット?
・具体的にはどのような数値で示せる?
・なぜいまなのか?
は、常に意識しましょう。
対策:差出人も重要
現状のメーラーの多くは、実は「件名」よりも「差し出し人」が大きく表示される仕様になっています。
そのため、多くの企業では「株式会社●●」とか「●●事務局」などの味気ない表記を避け、担当者の個人名にしているところが増えています。これも「一斉配信のメルマガっぽさを薄める」テクニックです。
対策:送信タイミングの鉄板は?
「メルマガは送信後2時間でおよそ8割が開封される」と言われています。そのため、送信のタイミングも重要です。業種などにより多少の差異はありますが、一般的にBtoBでメール開封率が高い時間帯は
朝の通勤時間:8時~9時
昼休み明け:13時~14時
夕方帰宅前:16時~18時
となります。
曜日については諸説ありますが、
×月曜午前中はNG・・・週末の業務メールが溜まっていて、読む余裕がない
×金曜夕方はNG・・・読む気がしない
×土・日・祝日・・・一般的な週末が休みの業種ではまず開封されない
×年末年始・GW・お盆時期などの長期休暇期間も同様
要は「ビジネスデーのビジネスタイム」「メールを読む時間帯」に送るのが基本です。
「平日」の中では”火曜と水曜の早朝や夕方がよい”などと言われていますが、実感としては誤差の範囲です。
実施後に、自社のメール開封率数値をもとに、試行錯誤してみましょう。
③読んでもらう
対策:txt/html(レスポンシブ)メールは必須
かつては業務メールは「txt形式」が当たり前でしたが、スマホが登場してからは「html形式」、それもスマートフォンで読みやすい「レスポンシブ形式」でなければ読んでもらえません。
・ただし、html形式のみでは表示されないケースもあるので必ずtxt形式とセットにしましょう。
・また、html形式はメーラーによりcssがさまざまですので、汎用のテンプレートを活用しましょう。
対策:適正な文字数とは?
これについても諸説あります。「文字数はなるべく少なく」というのが鉄則ではありますが、BtoBの場合は、ある程度しっかり伝えなければ効果が薄くなるのも事実です。
重要なのは、
・わかりやすく簡潔な言い回し
・一文を短く書く
・丁寧すぎる、冗長な言い回しは避ける
・重要な個所、リンクはハイライトする
ということです。
全体の文字量に関しては、スクロールしやすいスマホではそれほど神経質になる必要はないと思います。
BtoBの場合、ものすごい長文で「商品開発の意図」や「導入事例の詳細」を紹介したら、レスがもらえたり問い合わせにつながった、という事例もあります。
④なんらか反応してもらう
メルマガにおいてはこれが最も重要です。「反応」というのは、
・展示会やセミナーであれば申し込み
・サービス紹介であればデモや見積の問い合わせ
などに目が行きがちですが、
・自社サイトへの流入
も立派な反応です。「読みました、で?」となるメルマガがまだまだ多いのですが、仮に開封して目を通してもらっても、ほとんどの人は何も反応しません。ですので、
対策:NEXT ACTIONをわかりやすく提示する
「読者に次に何をしてもらいたいか?」を真剣に考えて、「詳しくは自社サイトのここを読んでください」「こちらの資料をご覧ください」「このセミナーにご参加ください」などシンプルかつ具体的に、また見た目にもわかりやすく表示する必要があります。
以上が「一斉配信」メルマガで効果を上げる手法です。
最後に
メルマガ施策を行う上で、最も重要なポイントは「根気」です。
1通送っただけで問い合わせが来る、優良な商談につながることはまずありません。目に見える反応(返信をいただく)などはほぼない、あっても年に1度か2度くらいのものです。そもそも、相手先の都合も考慮せずに一斉送信しているのですから「運よく目に留まり、読んでいただけたらありがたい」くらいに考えなければなりません。
月に1度から2度での配信で、半年、1年くらいを経過すると、徐々に営業現場でメルマガの話が出たり、問い合わせが入り始めたり、という成果が出てきます。
焦らず、慌てず、根気強く続けること、が大切です。
次回②は、”メルマガの「効果」を測り、営業に役立てる手法”について、具体的な事例を交えてご紹介します。
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