今回は、多くのBtoB企業がお悩みの「オウンドメディアを継続して運営する難しさ」を解消するための、現実的・シンプル(もっと気楽)に継続するコツ・アイデアの出し方を解説します。
「オウンドメディア=自社ブログ」運営の、ほんとうの大変さ
BtoB企業でいま、なぜオウンドメディアが注目されるのか?そのメリットとデメリットとスタートする際の注意ポイントについては
>13「オウンドメディア」のはじめ方~①なぜ注目される?なにが大変?
また、立ち上げにあたって実施すべきことについては
>14「オウンドメディア」のはじめ方~②社内ガイドラインとポリシー策定
で解説しました。
スタートまでにも相応にやるべきことがあるのですが、これらはある程度、事務的にタスクをこなしていけば終わります。
しかし、オウンドメディアのほんとうの大変さはここからです。よく挙げられる課題はこんな感じです。
①はプレイヤーの問題です。そもそも社内に「文章を書くのが好き」 な人が多数いる企業の方が珍しいでしょう。
②については、仮に「文章書けるよ、書いてもいいよ」という人がいたとしても、本人まかせではその人がシンドいばかりです。始めてすぐに「書くのはいいけど、テーマくらい決めてよ」と揉めること請け合いです。
③④については、運営側の問題です。「KPI」なんて杓子定規な数値目標まで行かなくとも、おおよその目標、目的がない(あったとしても曖昧だ)と、行き詰るのは当たり前です。
それらを解決するための一般的な方法として、
☆ペルソナとカスタマジャーニーを解析して「ターゲットを明確に定める」
☆想定検索キーワードを解析して「SEOに効果ある記事を執筆する」
☆社員ブロガーであれば記事の「テーマを分担して執筆してもらう」
☆記事はタイムリーに公開するべく「コンテンツカレンダーで管理・運営する」
・・・などが挙げられます。それはわかってるけど、
「言うだけならカンタンでも、現実的には超ムリゲー」
と感じていませんか?
ここからが本題です。
現実的・シンプル(もっと気楽)に、BtoB企業が運営するオウンドメディア(ブログ)を実行する4つのコツを、ご紹介します。
【コツその1】目標・目的を「まずは続けること」に設定する
以前も解説したとおり、オウンドメディアで反応があったり、効果が出るには半年はかかります。
数週間や数か月でメキメキ集客が増えて、あちこちで「読みましたよ!」とコメントされ、さらには問い合わせが来た!・・・などということにはなりません。残念ですが、それが現実です。
過度な期待は大きなガッカリにつながり、辛くなります。”それは夢だ”と、潔くあきらめましょう。
googleなど自然検索での流入でPVが増加傾向になるには、最短でも半年、1年ぐらいかかることは普通です。
また、コンテンツ(記事)の数も、10やそこらではムリです、最低でも50、できれば100件以上が望ましいです。それを超えると、急に増加傾向に転じて、一度増加傾向に入ればそう簡単には激減はしません。
ですので、
>最初の目標・目的は、「1年間継続、記事100件」と定めて、頑張りましょう。
【コツその2】「自社製品やサービス縛り」にこだわり過ぎない
BtoB企業が「オフィシャル」に運営するオウンドメディアですので、当然その記事は「自社の製品やサービスの宣伝につながるものでなくてはならない」と考えるのが普通です。
もちろんそうなのですが、これに縛られ過ぎると、書こうにも書けなくなります。「このネタは前にも誰か書ていた気がする」とか気にすると、書く前の下調べに非常に時間がかかり、書き始めるのが面倒になります。
そもそも、コーポレートWebサイトと違い、「緩くつながれる」のがオウンドメディアの特性です。日々の営業活動や自社の業務の中で、自分が気になったことや、ふと感じたこと、疑問に感じたことなど、「これは誰かの役に立ちそうだ」くらいのネタで良いのです。十人十色で視点や考えは異なるもの。同じテーマでも言い方(書き方)ひとつで、刺さる相手は異なります。
>多少のネタの重複は気にせず、1発必中とは考えず、気軽に書きつづってみましょう。
【コツその3】「こんな当たり前のこと・・・」でOK
オウンドメディアを発信する人は、なんらかの道のプロです。
そのため
「こんな初歩的なこと書いたら恥ずかしい」
「専門的、高度なことを発信しなければ」
と意気込み過ぎるのも、記事が書けなくなる要因のひとつです。
オウンドメディアの読者は不特定多数の、見込み顧客です。中にはまるきりの素人だけれど、なんらか課題を感じて、周囲に聞く人がいない、教えてもらいたい、というニーズでWebで検索している方だってたくさんいます。
業界人なら「言わずもがな」な事柄でも、「初心者にもわかる基本的な解説で助かった」、と感じる方もいます。
オウンドメディアの記事は「課題を挙げて、かならず解決まで理路整然と説かなければならない」とあまり固くならず、
こんな課題ありますよね?私もこんな目に遭いました。コレについてはなんとかならないか、調べたらこんなのありましたけど、私的にはいまひとつ。もう少し探して、見つけたらまた紹介していきますね!」といった内容でも、「誰か」にとっては十分役立つ、価値のある記事なのです。
【コツその4】「面白い最新記事を書く」メディアではなく 「役立つ記事がたくさんある」インデックス化を目指す
BtoB企業が運営するオウンドメディアのほんとうのシンドさは、「定期的に」「最新情報」を「発信し続けなければならない」ことにあります。なまじ「メディア」という名前なため、さらに「ほかにはないユニークな記事を途切れることなく、たくさん用意しなければならない」という”強迫観念”につながるのだと思います。
しかし、BtoBにおけるオウンドメディアの本来の目的は「CV(コンバージョン=有用な商談問い合わせ」を増やすことです。
誤解されがちですが、「最新ネタをバンバン投下して、PVを増やせば問い合わせが増える・・・というわけではない」のです。
どういことかというと、一般的なブログと違い、「新着性」はさほど重要ではなく(もちろんあるに越した方がよいですが)、「有用な記事がたくさんある」だけでも、集客効果は十分得られますよ、ということなのです。
では、この「有用」とは何でしょう?
おそらく、皆さんが想像するのはFacebookやTwitterなどのSNSで拡散される(俗にいう”バズ”る「面白い記事」なのではないでしょうか。
しかし、ITや製造業などのビジネスで、そんな面白いネタをバンバン書くことは可能でしょうか?多額のコストを払ってプランナーに入ってもらって・・・とすればあるいは、可能かもしれませんが(それでもかなり難しいです!)、専門的、技術的、ニッチなテーマであればあるほど、その可能性は限りなく低いですし。アウトソースすればコストも、そして時間もかかります。
ではどうするか。もう一つの方向性として、記事を「インデックス型」にしてしまう、という方法があります。
イメージしやすいのは、「用語集」です。ターゲットにしたい見込み顧客層が、悩んだ時に検索するであろう用語を、1対1で解説する記事を書く。これであれば、ネタに困ることはありませんし、用語解説であれば個人的な文才にも依存しないので、チームでの分担も可能になります。
「単なる用語解説では、問い合わせにはつながらないのでは・・・?」という不安があると思いますが、よそでは解説していない(ニッチな、あるいは細かすぎる)用語までを網羅できれば十分、差別化につながります。そして、それらの用語を検索する人が興味を持ちそうな(課題解決の一助になりそうな)製品、ソリューションへの動線をしっかり確保(Webの特性を活かしてリンクを設置)しておけば、問題ありません。
そしてこのインデックス(用語解説記事)が充実すればするほど、「**のジャンルなら●●社」という認知度が向上し、次第に業界内での存在感が高まっていきます。
ちなみに、googleの評価には「コンテンツボリューム」も指標の一つです。解説する際は、頑張って最低でも3,500~4,000文字くらい(A4サイズで2~3ページ分)、可能なら6,000文字くらいあると万全です(またハードル上げてしまいました・・・)。
まとめ
オウンドメディアの運用に限界を感じる、やってはいるけど疲弊している、という企業に共通して「そもそも”まだ見込みのお客様に見つけて(知って)もらって、ライトにつながる”が目的のハズなのに、”生真面目”に”固く”運用しようとし過ぎではないですか?」と感じます。
日本人はまじめですし、予算や社員に負荷をかけてやる以上、ヘタなとこはできない。その結果、テーマや内容に吟味に吟味を重ねて、推敲に推敲を重ねて、月に1本がやっと・・・な企業がたくさん存在します。
もちろんBtoB企業のカンバンで運営する内容の固い、間違いの許されないブログなので個人やBtoCのように”なんでもアリ”というワケにはいきませんが、大真面目にやり過ぎると息苦しくなるばかりで、運営側、執筆を行う社員側の双方にとってまったくHappyではありません(もちろん 読者=未来のお客様 にとってもです!)。
肩の力を抜いて、楽しく、まずは思ったことを、たくさん書いてみよう!と発想を転換してみましょう。
BtoB企業のオウンドメディアについて、立ち上げから運用まで、ご相談があれば、お気軽にお声がけください。
株式会社Red Comet Management [RCM]
info@red-cm.com
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